こんにちは。この度、第7回青少年中国派遣団のリーダーを務めさせて頂きました、武雄高校の大森佳歩です。私が今回の派遣事業に応募した理由は、単純に中国に行きたいという気持ちだけでした。日本と関係が深く、また、世界経済においても絶大な影響力を持つ中国という国の文化、人、生活を肌で感じ、中国の『今』を知ることが応募した当時の私の目標だったように思います。しかし、出発前の事前研修も含め、私が今回の派遣事業で得られたものは、想像以上に大きかったです。
実際に中国に行ってみてまず感じたのは、日本とさほど変わらないなということです。偏見でしかないのですが、私の中での中国は、国民にあまり自由がなく、全てを国が管理しているというイメージでした。しかし実際には、それぞれが自由にファッションを楽しみ、街は人々で賑わっている、とてもアジアらしいパワフルな空気で満ちていました。お土産屋さんやレストランで出逢った人達もとても気さくで、言葉がなくても自然と盛り上がり笑顔になれるような中国の人の明るさが、私は大好きになりました。
中国に到着した次の日、私たちは長春にある二つの高校の生徒と交流会をしました。私にとって衝撃だったのは、二番目に交流をした第六高級中学校での風景です。校庭にはいくつものバスケットコート、フットサルコートがあり、授業を受ける校舎以外に実験棟や食堂、動植物の展示施設や会議のための施設など、日本の一般の高校では考えられないほど充実した設備でした。そんな環境で毎日の学校生活を送っている高校生たちは、勉強に対する意識もとても高かったです。そんな生徒たちと交流する中で、私は彼らの中にある強い愛国心をひしひしと感じました。国のおかげで今の自分たちの生活や充実した学習環境があることに感謝し、それらに応えようという思いが自分たちの原動力でもあると、交流した生徒は言います。私は今まで、自分の学校生活をそのように捉えたことはありませんでした。現地の高校生との時間はとても刺激的で、同世代の1人の人間として考えさせられることがたくさんあり、とても有意義な時間を過ごせたと思います。
3日目は、長春から北京まで高速鉄道で約5時間の移動。その道中、窓から見えた景色は北京や長春とは全く違い、高い建物は一切なく、ただひたすら広がる野原にポツポツと家が建っていました。その景色の中に人の姿を見ることは滅多にありません。都市部はあんなに発達しているのに、少し離れるとこんなに景色が変わるのか、と少し寂しいような気持ちになりました。中国では、都市部と山間部、沿岸部と内陸部の経済格差が問題になっていますが、その現実の一部を目の当たりにしました。日本ではなかなか見ることのない景色ですが、これは中国に限らず、世界が直面している問題だと思います。これからの世界経済の発展を考える上で、私達にとってとても意味のある経験でした。
4日目は、世界遺産の天壇公園を観光した後、在中国日本大使館を訪問しました。日本で暮らしていると全く意識しませんが、大使館は意外にも身近な存在でした。外交関係の仕事だけではなく、日本人と中国人の交流の場を設けたり、日本文化を広める活動をされていたりと、人と人とをつなぐ地道な活動も大使館の役割だと知り、とても興味深かったです。
大使館を訪問した後、私たちは北京の繁華街を散策しました。ここで私は、人生で初めてのものを食べます。サソリの唐揚げです。繁華街の屋台で生きたまま串刺しにされて売られていました。実際に食べてみると、味は海老とあまり変わりませんでした。しかも味付けがカレー風味だったのでとても美味しかったです!見た目は気持ちが悪く、多少抵抗があるかもしれませんが、後悔はしないと思います。ぜひ、中国に行ったら挑戦してみてください。
5日目の午前中は、私が今回の派遣事業で一番楽しみにしていた万里の長城に行きました。万里の長城には、観光客向けの女坂と、女坂に比べて傾斜がかなり急な男坂があります。私は男坂を登りましたが、頂上に着くまでは部活のトレーニングのようでした。しかし、登りながら見える景色や頂上からの眺めは圧巻です。この城壁が何千年も前からここにあったのだということを考えると、出る言葉もありませんでした。中国の歴史の長さと人の偉大さを感じ、死ぬまでに絶対にまた来ようと心に決めました。万里の長城は、私の中で今回の研修の中での一番の思い出です。午後からは、北京市内にあるイオンの視察をさせていただきました。店内の内装などは日本とほとんど変わらず、中国にいるのにまるで日本にいるかのように感じるほどです。そこで実際に働いていらっしゃる日本人の方、そして現地の中国人の方の両方にお話を伺えたのは、とても貴重な経験でした。
私は今、今回の派遣事業に参加して良かったと心から思っています。中国に行けたという経験ももちろんですが、この6日間を共に過ごした11人の個性豊かなメンバーに出会えて本当に良かったです。そして、清香奨学会の皆様。私達にこのような貴重な機会を与えてくださり、ありがとうございました。今回の交流で出会えた中国の高校生たちと、これからも交流を深め、小さなことではありますが、日中友好に努めて参りたいと思います。謝謝!!!!!!